スマートホーム • 2026-08-25 • 加藤 蓮

LGとサムスンファウンドリ、常時センシング対応IoTチップの開発で提携

家電大手のLGと半導体受託製造大手のサムスンファウンドリが異例のタッグを結成。待機電力を極限まで削減しながら環境変化やユーザーの挙動を検知する新型半導体の全容と実用化ロードマップを整理します。

LGとサムスンファウンドリ、常時センシング対応IoTチップの開発で提携
要点サマリー

LGエレクトロニクスが設計する次世代スマートホーム向けオンデバイスAI回路と、サムスン電子ファウンドリ部門の超微細FD-SOI低電力プロセス技術が融合します。これにより、従来の待機時消費電力を約60%削減しながら、室内の音声・ミリ波レーダー・環境データをミリ秒単位で処理し続ける超高効率IoTマイクロコントローラの共同開発が進められます。

共同開発プロジェクトの基本スペック

製造プロセス技術
サムスン 18nm FD-SOI 低電力ノード
待機電力削減率
従来比マイナス62%(常時監視モード時)
内蔵AIコア
エッジ推論専用 超小型NPU (0.5 TOPS)
製品搭載予定時期
2027年第2四半期 LG製フラッグシップ家電より
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提携チップの実用化に向けた開発フェーズ

01
フェーズ 1:アーキテクチャ共同定義

LGの常時センシング要件とサムスンのIP統合設計

家電製品がスリープ状態でも生活音や人体接近を捉え続けるため、超低電流で動作する専用ウェイクアップ回路と低リークSRAMの設計仕様を両社で確定させました。

02
フェーズ 2:テストウェハーの試作と評価

器興キャンパスにおける試作と熱ノイズ検証

サムスンの器興ファウンドリラインで最初のMPW(マルチプロジェクトウェハー)を製造し、エアコンや冷蔵庫内部などの高温多湿環境におけるセンシング精度と耐久性を実証しました。

03
フェーズ 3:LG ThinQプラットフォームとの結合

独自ミドルウェアの最適化と通信スタック実装

Matter規格およびLG ThinQエコシステムとのシームレスな同期を実現するため、Matter-over-Thread通信スタックをチップ内部のセキュア領域に組み込みました。

04
フェーズ 4:量産体制の構築と製品展開

2027年市販モデルへの搭載とグローバル出荷

平沢ファウンドリラインでの月産数百万個規模の量産ラインを立ち上げ、LGのプレミアム白物家電から順次グローバル市場へ供給を開始する計画です。

競合関係を超えた韓国テック二大巨頭の協業背景

コンシューマー家電市場において激しいシェア争いを繰り広げるLGとサムスンですが、半導体製造とエッジデバイス開発という分野において利害が完全に一致しました。LGはクラウド依存を減らして通信遅延とサーバーコストを抑えるオンデバイスAI半導体を切望しており、一方でサムスンファウンドリは車載・モバイル以外のIoT専用プロセスで大口顧客の確保を急いでいました。

この新型常時センシングチップは、住人が部屋に入った瞬間や特定の生活音(ガラス破損、赤ちゃんの泣き声、換気扇の異音など)をマイクロワット級の電力で監視します。クラウドへ生データを常時送信しないため、プライバシー保護の観点からも極めて安全な家庭内インフラが実現します。

「日常のあらゆる機器が利用者の気配を察知しながら、電力消費を意識させない水準に抑える。この両立こそが次世代アンビエントコンピューティングの絶対条件です」

今後は家電単体にとどまらず、住居全体の照明スイッチや空調ダンパー、スマートロックなどへの展開も見据えています。両社のオープンな規格採用により、Matter対応機器との連動も一段とスムーズになる見通しです。

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