自動化と電気工学 • 2026-08-15 • 林 遣都

韓国、半導体サプライチェーン支援のため5兆ウォンの基金を設立

国家戦略産業としての半導体競争力を守るため、素材・部品・装置および中堅ファブレス企業を包括的に支える大型金融支援プログラムが本格始動しました。

韓国、半導体サプライチェーン支援のため5兆ウォンの基金を設立
要点サマリー

韓国政府と韓国産業銀行をはじめとする政策金融機関は、激化するグローバルサプライチェーン摩擦に対抗するため、総額5兆ウォン規模の半導体エコシステム特別支援基金を立ち上げました。この基金は、先端半導体パッケージング、車載IC設計、次世代製造装置の開発に従事する中小・中堅企業に対し、超低利融資と直接出資の両輪で資本を投下します。特にエネルギー効率の劇的な改善を果たすパワー半導体や新技術の研究基盤を固め、大手ファウンドリと国内サプライヤーの結びつきを抜本的に強化します。

支援スキームの主要骨子

総支援枠
5兆ウォン(政策金融・民間出資連動型)
主な支援対象
素材・部品・装置(素部装)企業およびファブレス
金利優遇措置
市中金利比最大1.2〜1.5%の引き下げ適用
重点開発分野
GaN/SiCパワー半導体、AI推論チップ、先端検査装置
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基金運用の段階的ロードマップ

01
フェーズ 1:資本拠出と体制整備

政策金融機関による資金プールの形成

韓国産業銀行と企業銀行が主導して基本財源を拠出し、主要都市銀行と連携した共同融資審査窓口を開設。設備投資資金を迅速に供給する体制を整えました。

02
フェーズ 2:設備投資支援の実行

クリーンルームおよび高精度加工設備の拡充融資

製造ラインの刷新を迫られている中堅サプライヤーへ、クリーンルーム新設や輸入代替設備の導入費を低利で供給。急速な立ち上げを資金面から下支えします。

03
フェーズ 3:研究開発と設計検証

パワー半導体およびAI半導体向け試作ラインの共有

EV急速充電器や分散電源に応用される次世代パワー半導体の開発へ補助を実施。設計企業がMPW(マルチプロジェクトウエハー)を利用しやすい環境を整えます。

04
フェーズ 4:量産実証とグローバル展開

スマートホーム機器や産業機器への組込推進

開発された新技術チップを家電製品やIoT制御機器へ採用するための信頼性試験を支援。海外輸出向け規格認証の取得まで一貫したフォローを行います。

エコシステム全体の底上げがもたらす産業インパクト

韓国の半導体産業はこれまでメモリ分野で圧倒的な強みを示してきたものの、製造工程を支える特殊化学材料や精密露光装置、設計を担うファブレス分野では海外依存度が依然として高い状態にありました。今回の5兆ウォン規模の基金設立は、こうした構造的な脆弱性を克服し、自律的な製造基盤を確立するための戦略的な一手と位置付けられています。

特に注目すべき領域は、電源制御回路や充電器の高効率化を牽引する窒化ガリウム(GaN)および炭化ケイ素(SiC)化合物半導体です。これらの素子は極めて優れたエネルギー効率を誇り、スマートホーム機器内の省電力化からデータセンターの冷却負荷低減に至るまで多大な影響を及ぼします。基礎開発から量産ライン構築まで長期的な資金を供給することで、企業の研究リスクを大幅に軽減します。

「メモリの優位性をシステム半導体や素材・装置分野にまで波及させることが、国家産業の持続的繁栄を決定づける要件である」

さらに、ファクトリーオートメーション分野との融合も期待されています。高度なチップ設計と精密ロボット技術が連携することで、半導体後工程の完全自動化が進み、歩留まりの改善と製造リードタイムの短縮が同時に達成されます。政府主導の資金支援と民間製造技術が噛み合うことで、韓国の半導体サプライチェーンはより堅牢なステージへと移行しています。

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